不思議な空間「縁側」
住宅に関われば関わるほど、住まいには日本の文化が凝縮されていると感じます。縁側、障子、床の間、畳など、住まいを見わたせば気候風土にあった日本人の精神性が結集された優れたものがちりばめられています。
縁側はかつて日本の住まいに当然のようにありました。日本の家屋は、基本的に高温多湿の夏に照準をあわせたつくりになっています。その観点からも縁側は不可欠だったのです。
座敷と庭を結ぶ“つなぎの空間”である縁側は、人と自然、個人と社会をつなぐ空間ともなり、独特の文化、独特のスタイルを育んできました。外国人には、外か内かわからないこの空間が不思議であるようです。確かに縁側は屋根も庇もついているので屋内スペースとも思えるし、雨戸を開け放ってしまえば、吹きさらしの屋外のようでもあります。実はこの曖昧さこそ縁側の最大の特徴、持ち味であり、さらには日本人の特徴でもあるのです。
縁側に座るとき、足は靴を履いたまま外に、体は廊下に座り内に入れる。内でも外でもない空間で居心地がいい。お茶をいただき世間話をする、それが縁側です。
日本人は、畳の部屋はもちろん縁側、庭の飛び石、裏山、空に浮かぶ雲も内側、という具合に内と外とがはっきりせず、二つの世界が連続している意識を持っているのです。まさに曖昧な世界です。日本語には「イエス」でもない、「ノー」でもない、「まあ、そういうことで」といった言葉があります。何だかよくわからない、そういう曖昧な言葉が日本人は好きなのです。そこからは争いは出てきません。日本人は単一家族で、平和を好む民族なのです。玄関でなく縁側からも人は自由に出入りできます。家も開放的な平和な構造になっているのです。
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